まるで咆哮のような、地鳴りのようなものが身体中を駆けめぐる。
運が悪いだけで、幸せになれずにどん底に沈むことだってあります。
本書の解説を政治思想史家が書いているが、原にいわせれば本書の主人公のような地方出身者は制の呪縛と地方共同体の習俗の狭間にいる。
だが決して、安穏とすることは許されない。
あらすじ 上野駅 本書の舞台となるJR上野駅。
生まれ育った環境や時代次第で、誰でも路上生活者となる可能性はあるのだ。
誰かと言葉を交わすよりはるかに長い時間を、私は本を片手に過ごしてきた。
主人公は、上野公園で生活するホームレスの男性だ。
自分自身に近づけて読むのか、はたまた自分からは遠い出来事だと思うのか。
作品全体に、他にも対比がたくさんあります。
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小説部門の受賞者はフォークナー、フィリップ・ロスなどそうそうたる顔ぶれだ。
Contents• コロナの影響で仕事を失ったのか、それはわからない。
ホームレスの人びとはいきなり路上生活者となったわけではなく、誰もが誰かの家族であり、人間関係があったはずなのだ。
人は、自分だけの夢を描くのか?または、家族の夢を描くのか? 年を重ねて、人は描けなかった夢に想いを馳せるのか? 冬空のもと、そんなことを考えてしまう作品でした。
「ホームレスだ、というような驚きが一瞬掠めた女の顔には、願いが挫かれたばかりのような陰りがあった(p. 主人公の目と耳に入ってくるのは、今を生きる人たちの日常の会話や仕草。
その瞬間よみがえったのは、昭和天皇を原ノ町駅で迎えたときの光景であった。
この叫びは、いつかどこかへ届くのだろうか。